中古の戸建て物件の選び方

中古戸建て物件の選び方
~リノベーション(リフォーム)を見据えて安心・納得の住まい選びを~
近年、住まいに対する価値観は多様化しており、「新築一択」ではなく、自分たちのライフスタイルに合った選択をする方が増えています。
その中でも、注目を集めているのが「中古住宅を購入し、自分好みにリノベーション(リフォーム)を施す」
というスタイルです。
特に戸建て住宅の場合、マンションに比べて間取りの自由度が高く、リノベーション(リフォーム)によって
理想の住まいを実現しやすいという大きな魅力があります。
一方で、「どんな物件を選べば良いのか分からない」「購入後に多額の工事費用が発生したらどうしよう」
と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
中古戸建て住宅を購入し、リノベーション(リフォーム)を行うには、物件選びの段階から
いくつか重要なポイントを押さえておく必要があります。
ここでは、失敗しない物件選びのために注目すべきポイントを、わかりやすく丁寧にご紹介いたします。
1. 新耐震基準に適合しているかを確認する
まず最初に注目したいのが「耐震性」です。日本は地震大国であるため
建物の構造がどのような基準で造られているかは、住まいの安全性に直結する重要な要素です。
1981年6月に施行された建築基準法の改正により、それ以前と以後では耐震性の基準が大きく異なります。
この新しい基準は「新耐震基準」と呼ばれ、震度6強から7程度の大地震でも倒壊しないことを前提としています。
それ以前に建てられた建物は「旧耐震基準」に該当し、耐震性が劣る可能性があるため注意が必要です。
中古物件の広告などには「1981年築」や「築40年」といった情報が載っていることがありますが
重要なのは実際に建築確認がなされた日付です。
建築確認が1981年6月以降であれば新耐震基準が適用されていると考えられますが
詳細は不動産会社や建築士に確認することをおすすめします。
なお、旧耐震基準の建物であっても、購入後に耐震補強を行うことで安全性を高めることは可能ですが
その分の工事費がかかります。
リノベーション(リフォーム)の予算を考える際は、こうした耐震改修のコストも含めて検討する必要があります。
2. 地盤や災害リスクに問題がないか確認する
建物の耐震性と同じくらい重要なのが「土地の安全性」です。
どれだけ建物がしっかりしていても、その土地の地盤が弱かったり
災害リスクが高かったりすれば、安心して暮らすことはできません。
まずは、国や自治体が公開している「ハザードマップ」を活用して、その土地がどのような災害リスクを抱えているのかを確認しましょう。
洪水・津波・土砂災害・液状化など、さまざまな自然災害のリスクを地図上で確認できます。
また、地盤の状態も重要です。
地盤が軟弱な場所では、地震の際に揺れが大きくなったり、不同沈下が発生したりするリスクがあります。
できれば、地盤調査の結果が開示されている物件を選ぶか、購入前に独自に地盤調査を依頼することをおすすめします。
土地の安全性は、リノベーション(リフォーム)では改善できない要素です。
そのため、物件選びの段階でしっかり確認しておくことが非常に大切です。
3. 建物の基礎や土台の状態を確認する
リノベーション(リフォーム)を前提とした中古物件選びにおいて、最も重要な部分のひとつが「構造体の状態」です。
特に戸建て住宅では、建物を支える基礎や土台が劣化していないか、構造的に問題がないかを事前にチェックすることが不可欠です。
例えば、基礎に大きなひび割れがある場合や、鉄筋が露出しているような状態では、建物の耐久性が低下している可能性があります。
また、土台にシロアリの被害がある場合は、補修や交換が必要になり、リノベーション(リフォーム)工事に想定以上のコストがかかることもあります。
このようなリスクを避けるためにも、「建物状況調査(インスペクション)」を活用するのがおすすめです。
インスペクションとは、建物の専門家が第三者の立場で構造や劣化状況をチェックし、報告書を作成してくれるサービスです。
購入前にインスペクションを実施すれば、安心して物件を選ぶことができ、リノベーション(リフォーム)の計画も立てやすくなります。
4. リノベーション(リフォーム)しやすい構造・間取りかどうか
せっかく中古住宅を購入するなら、自分たちのライフスタイルに合わせて
大幅な間取り変更をしたいと考える方も多いでしょう。
しかし、すべての建物が自由にリノベーション(リフォーム)できるわけではありません。
たとえば、「キッチンを対面式にしたい」「和室を洋室に変えたい」「壁を取り払って広いLDKをつくりたい」
といった希望がある場合、建物の構造によっては実現できないこともあります。
特に注意が必要なのが、建物の耐力壁(地震に耐えるために重要な壁)です。
これを撤去したり移動したりするには、構造補強が必要となる場合があります。
また、2階建ての場合は1階と2階の柱の配置がどうなっているか、壁を取り除いても構造的に問題がないかなど
建築士などの専門家の判断が必要です。
リノベーション(リフォーム)の自由度を高めたい場合は、あらかじめ構造がシンプルで
可変性の高い物件を選ぶようにしましょう。
5. 過去のリノベーション(リフォーム)履歴が確認できるか
中古住宅の中には、すでに一部リノベーション(リフォーム)が施されているものもあります。
その際は、過去にどのような工事が行われたのか、適切な方法で施工されていたのかを確認しておくことが大切です。
たとえば、水回りの設備を交換していたとしても、配管が老朽化しているままの場合
数年以内に再度大がかりな修繕が必要になる可能性があります。
また、内装だけ綺麗に整えられていても、構造部分や断熱性能には手が加えられていないケースもあります。
購入を検討している物件が過去にリノベーション(リフォーム)されている場合は
工事内容、施工業者、保証の有無、施工図面などの資料があるかどうかを不動産会社に確認しましょう。
さらに、第三者機関による検査済証や住宅履歴情報がある物件は、より安心して購入できます。
6. 周辺環境や生活利便性にも注目する
中古住宅の購入においては、建物や土地の状態だけでなく、周辺環境や暮らしやすさにも十分な配慮が必要です。
特にリノベーション(リフォーム)を行う場合、施工中や入居後の生活に支障が出ないかも含めて確認しておきましょう。
たとえば、次のようなポイントをチェックしてみてください。
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最寄りの交通機関(駅・バス停)へのアクセス
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スーパー、病院、郵便局などの生活インフラの距離
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保育園・小中学校への通学の安全性と距離
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近隣住民の雰囲気や治安、騒音の有無
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再開発計画や空き家の増減傾向など、将来的な街の価値
また、物件の見学は昼間だけでなく、夕方や休日にも訪れてみることをおすすめします。
時間帯や曜日によって交通量や騒音などの印象が大きく変わることがあるためです。
住み始めてから「こんなはずではなかった」と後悔しないよう、現地での肌感覚も大切にしましょう。
まとめ
中古戸建てを購入してリノベーション(リフォーム)するという選択肢は
コストを抑えながら自分らしい住まいを実現できる魅力的な方法です。
しかし、その一方で、物件によっては思わぬリスクや制約が隠れていることも少なくありません。
後悔のない住まいづくりを実現するためには
「建物の耐震性」「土地の安全性」「構造の健全性」「リノベーション(リフォーム)の自由度」
「過去の履歴」「周辺環境」といった複数の観点から、慎重に物件を見極めることが求められます。
そして、不明な点があればリノベーション(リフォーム)の専門業者や建築士、不動産会社などの
プロに相談しながら進めることで、より安心して理想の住まいづくりをスタートできるはずです。
まずは物件選びから、あなたの住まいづくりの第一歩が始まっています。
丁寧に、じっくりと、納得のいく選択を重ねていきましょう。